読売新聞にオペラネットワークの
活動が掲載されました(2025年10月14日朝刊)
活動が掲載されました(2025年10月14日朝刊)
読売新聞(2025年10月14日 朝刊)
「地域オペラ存続に不安 」
2025年10月14日付の読売新聞オンラインにて、当団体の活動が紹介されました。
記事では、全日本オペラネットワークが昨年2024年に全国のオペラ団体を対象に実施したアンケートを元に、筑波大学准教授の江藤光紀氏の協力の元、今年2025年7月に開催したminiフォーラムでの調査結果とともに、地域オペラ団体の現状や課題について、現在の地域オペラ団体が抱える不安や問題について取り上げています。
掲載記事文章(全文)
地域オペラ存続に不安 入場収入減▪️主催・代表が赤字補填
地域に根ざした活動をするオペラ団体の多くが、今後の運営に不安を持っていることが、「全日本オペラネットワーク」などのアンケート調査で明らかになった。識者からは「日本のオペラの持続可能性に黄色信号がともっている」と危ぶむ声も上がっている。
(文化部 小林佑基)
アンケート調査
今月8日、埼玉県和光市第三小学校音楽室。同市を拠点にする「特定非営利活動法人 オペラ彩」の会員ら約30名が、指揮者の平野桂子さんを迎えて練習していた。「この場面はみんなが集まってパーティーをしているところ」「ここは女性が無理やり男性を引っ張っているような感じ」平野さんは、来年1月31日、2月1日の定期公演で披露するオペレッタ「メリー・ウィドウ」の楽曲の情景や歌い方を熱心に指導。ピアノに合わせてドイツ語の歌が響き渡ると、音楽室は一気に華やぐ。練習は夜9時まで3時間行われた。
会員は約15人だが、県内にキャンパスがある東邦音大生や附属高の生徒、放送大学埼玉学習センター合唱団員らも公演に出演するため、練習に加わる。県内では唯一、定期公演に常時、プロオーケストラを呼び、受賞歴も多い名門だ。
それでも、公演の赤字は理事長の和田タカ子さん(79)が補填して活動を続けている。「地域のオペラは代表の多くがその覚悟だと思う。多くのプロが関わって作品をつくっているので、迷惑がかけられない」
オペラは、ソロの歌手やオーケストラ、合唱、舞台装置が一体となって上演する総合芸術で、公演費用は高額となる。オペラ彩は定期公演2日間で約1800万円かかるが、会場の9割を埋めていた入場者が、コロナ禍後は7割に満たない時もある。会費を払って参加する会員数は横ばいだが、運営は逼迫している。企業の支援はほとんどなく、公的支援も減る傾向にあると和田さんは説明する。
会員減少、高齢化…
こうした地域のオペラの現状を探ろうと、和田さんが運営委員長を務める全日本オペラネットワークと。江藤光紀。筑波大准教授(芸術社会学)は共同で昨秋、全国約130団体にアンケートを送付。38団体から回答を得た。対象は、アマチュアが企画運営し、主役級や指揮者にプロを迎える「市民オペラ」に、プロ主体の団体も含めたが、新国立劇場や東京二期会などの大きな組織は除いた。
結果は深刻で、持続可能性について「中長期的には不安を抱いている」という回答が19団体と最多。続いて「現在、運営に大きな問題がある/2〜3年先の運営が見通せない」があ14団体と、合わせて87%を占めた。「当面は安定的な運営が可能」の回答は3団体にすぎなかった。背景には会員の減少やファンの高齢化、後継者不足、クラシック音楽全般の苦境などがある。
特に財政面が厳しく、23団体はボランティアに運営・事務の一部を頼っていた。収入源で最も多いのが「チケット販売」と答えたのは17団体だった一方、「団費・参加費等」も6団体あった。赤字が出た時、補填の方法として多かったのが主催者や代表者による補填で、「団の貯金から」が続いた。自由回答でも、会費収入の減少や助成金の不安定さを訴えるものが目立つ。
公益性アピールを
公的支援を受けているとの回答は11団体にとどまった。「所沢市民オペラ」会長で声楽家の落合一成さん(35)は「名前はあ『市民』だが、今のところ、運営や企画に市は関わっていない。会員の会費ではあ足りず、自分のポケットマネーでやっている」と話す。また、落合さんは、外国語で歌うというオペラの特質は演劇やバレエに比べ、歌手には労力を要求し、集客面でも不利に働くと難しさを語る。
江藤准教授は、コストがかさむオペラは、平等性が求められる公的支援で不利になりがちだと指摘。その上で、「これまでは主に団塊の世代がリードし、低コストで活動し、地域文化の中核を担ってきた。今後は、活動が地域にどう役立っているのかあを言語化し、公益性をアピールするための理論武装が必要だ」と説く。
和田さんは「稽古中に(成長で)潮目が変わったような感覚を覚えることがあり、それが作品づくりの要で醍醐味。地域オペラは優れた演奏者や教育者を生み出す。裾野を広げて芸術の振興、人材の育成を図りたい」と話している。
掲載記事
『地域オペラ存続に不安』
(読売新聞朝刊 2025年10月14日付)
※この記事は読売新聞社の許諾を得て掲載しています。
記事および写真の著作権は読売新聞社に帰属します。無断転載を禁じます。
全日本オペラネットワークより
私たちは今後も、地域の文化活動を支えるオペラ団体の連携や情報共有を進め、持続的な発展を目指してまいります。
引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。